夢溢れる話
高校の頃の友人が大好きな本の一冊でした。勧められて読んでみてとても美しい話だと思いました。久し振りに読みたいと思って購入。やはり美しい話でした。
タイムトラベル物は昔から数多く書かれていますが、中でもこの作品は出色の出来栄えと思います。
夢で過去と現在を行き来するところや小説の雰囲気なんかが、ちょっと「トムは真夜中の庭で」に似ているかな?
軽々しいストーリー展開はなく、押さえた筆致で淡々と小説内の時間は進んでいきます。時間が進むとともに、夢の中のバビントンは破滅に近づいていく、そしてペネロピーにはそれを止めることは出来ない。幼いながらもペネロピーが感じている絶望感というか諦観がこれまた淡々と描かれていきます。
叙情感溢れる風景描写もいい。過去も現在も変わらぬ田園の風景と、最盛期と没落後の荘園屋敷の対比が、押さえた筆致の中に鮮やかに浮かびあがります。
スコットランドとイングランドの歴史的ゴタゴタは、知らなくても楽しめますが、知っていればもっと小説を味わえると思えます。
名作はいつ読んでも、何年経っても名作。
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