東野圭吾 完全犯罪推理小説

久々に東野氏の正統派の本格推理小説にあたりました。冒頭、ロボット誤作動による事故死が描かれ、本編に入っていくという流れです。一言でいえば3人の共犯で計画、アリバイ工作のため実行された完全犯罪殺人リレーが意外な展開にといった内容です。同じ社内の不埒な女性社員と肉体関係を持ってしまった3人の男が女を殺害、死体を中継を入れて大阪から東京へ運ぶという計画が、最後の引き渡しで死体がそのターゲットではなく、なんと主犯格で殺人実行役の最初の男だった・・・。いくら毛布にくるまれていたとはいえ主人公である、2番目の男が見えていたのが足元だけとはいえ男女の区別もわからずその時点で気づかなかったのかとこの点はツッコミを入れたくもなりますが・・・。さらに共犯の男、もともとのターゲットであった女性も殺されてしまうことになります。 ストーリーは不遇な少年時代を経て次期社長候補の生意気な娘の婿候補になり出世欲に燃える共犯者である主人公の目線で展開していきます。真相は冒頭でプツンと切れていたロボット事故へとつながっていくことになるのですが、ネタバレになるのでこれ以上は控えておきます。 本作はせっかく謎に満ちたストーリーになっているのにエンディングが急ぎ足で、収束に向かう流れをもっと丁寧にふくらませて描けばさらに100頁は書けるであろう内容なのに途中でプツンと切ってしまうスタイルで後は読者のご想像にという感じになっているのが残念に思いました。これがマイナスで★4つとしました。 本の帯に悪を描く快感を覚え、『白夜行』へとつながっていたとの著者談にあるように今から30年以上も前の古い初期の作品ですが、ラストが残念なことを除けば正統派推理ものの優れた作品だと思います。