SF小説というものは、時代が進むにつれて設定や描写が時代遅れになってしまうという面があり、昔書かれたSF小説を今読むと、未来の物語なのに古臭く感じてしまうこともあるものだ。 しかし、56年前に書かれたこの小説を、2020年、世界が新型コロナのパンデミックを経験している今読んでみると、逆に今だからこそ恐ろしいほどのリアリティを持っていて驚かされる。 解説文によると、この作品を書くに当たって最も重要だった点は「たかが風邪で人類が滅亡の淵まで追い詰められる事態をいかにリアルに描くか」ということだったらしいが、今読むと十分過ぎる程のリアリティがある。 医療従事者の疲弊や、都市から田舎への疎開者とそれを阻止しようとする田舎の住民といった描写など、つい最近のニュースで目にしたような光景が描かれる。 『渚にて』のように希望のない物語なのかと途中で不安になったが、題名のとおり最後には新たな希望の光が差す物語になっていて感動を呼ぶ。 表紙の絵が物語を象徴していて素晴らしい。