「いつか陽のあたる場所で」「すれ違う背中を」「いちばん長い夜に」。
ムショ帰りの二人、芭子と綾さんの物語がこれで完結です。
yomyomに連載時も読んでいましたが、改めてまとめて読むとやっぱりいいですね。
悔やんでも取り返せない過去をかかえながら、「日々を紡ぐ」という言葉がぴったりの暮らしを積み重ねていく二人。
おびえながらも逃げず、時に絶望感にさいなまれながらもしっかりと地に足をつけて生きる芭子に希望の訪れを感じさせて物語は幕を閉じます。
雑誌連載中に東日本大震災がおこりました。作中の芭子と綾さんもこれで生き方に大きな変化が生まれます。もし、この震災がおこらなかったら作者は二人にどんな運命を用意していたのか少し気になります。
文庫化された乃南アサ氏の作品はほとんど読んでいますが、彼女の作品に共通しているのは「生きる」ということへの終わりのない追求であるように思います。答えの出る問いではないのだろうと思いますが、彼女の作品を読むといつも、自分はきょう一日をおろそかに生きなかっただろうか、と胸に問いかけてしまいます。弱い人間なので、すぐに怠惰に流れてしまいがちなのですが、彼女の作品が自分を省みることを促してくれます。決して責めることなく。
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