イギリスの古風な空気感とクローン人間

もし、あなたが臓器提供のためのクローン人間として生まれたとしたら。教育も生活も保障されているけれど、成人後、臓器提供を義務付けられ、中年になるまでに人生を終わらなければならないとすれば。それでも青春の真っ只中で恋をし、愛する人と生きたいと願い、自分のルーツ(親ではなく、自分の命の源となった卵子提供者)を捜し求める切ない心理。非現実とは理解しながらも、いつか、現実になるかもしれない不気味さも感じさせる。背景となるのが一昔前の古風なイギリスの地方都市。最先端バイオテクノロジーとはミスマッチのように思えるけれど、この小説の主人公達の人間としての尊厳のはかなさをきわだたせているように思う。映画も上映されたけれど、原著を読んでからご覧になるといいと思う。