2部構成

福岡先生は中身も文体も好きで一気に読んでしまいます。生化学はそこそこ専門としてやっていたので大変興味深く、電車の車中でニヤニヤしながら読んでて相当怪しい人だったかも。リン酸カスケードの話など、かろうじて当時の狂騒も知っていて、先生が興奮気味に話していたのを覚えています。10代の頃だったので当時は実感があまりなかったのですが確かにあの頃の生物は本当に熱く、そんなことを考えながら感慨深く読了しました。 ただ、「生物と無生物」から入った専門外の方には冒頭と後半でやや難解な部分があるかも。(概要さえつかめてれば読み飛ばしても成立する構成ではあるのですが…。そして、科学本なのにそれが成立してしまうところが希有なんですけど。) 構成としては、表題である「視覚的・心理的解像度とそのフォーカス」というのが底流にある中で、それを取り巻く断片について行きつ戻りつしながら話が進みます。(先生お得意のパターン)しかし別の言い方をするとミクロからマクロに視野を振る前半と逆である後半に分かれているとも言えます。それぞれ思慮深く話はつながっているのですが「生物と無生物」ほどのカタルシスはないかも。もちろん十分★5なんですが、「生物と無生物」は個人的に殿堂入りレベルなのでそれと比べると比較的あっさりした読み口でした。 あと、一般的な同意が得られるか判らないのですが読んでいて養老先生の「バカの壁」のことをすごーく思い出しました。