あらない

第1回坪内逍遥賞の大賞が村上春樹氏、奨励賞が川上未映子氏、といった繋がりもあり、ハルキストの代表的な立場で、川上氏が村上氏にインタビューした1冊。村上氏のデビュー時にまで遡っての、4回にわたるロングインタビューだが、村上氏が「騎士団長殺し」を上梓した直後だけに当然、同署の話題が多くを占める。帯に「ただのインタビューではあらない」と記されているのは無論、「騎士団長」の台詞を借用したものだが、いや実際、インタビューどころか対談と言っていいほど内容は濃く、川上氏の勉強ぶり、用意周到ぶりに舌を巻いた。当人は「資料が役に立たなかった」と述懐しているが、世界の村上春樹を向こうに回しての堂々とした立ち居振る舞いは、むしろ彼女の株を挙げた。素晴らしい対談本と評価したい。