宇宙から見れば国境はない、とかのジョン・レノンは歌いましたが、日本列島の場合それは必ずしも当てはまらないんですよね。確かに、厳密にはどこからどこまでが、どの島がという点についてはさすがにわからないですが、それでも多くの日本人が漠然と抱く日本という国の形、即ち、北海道、本州、四国、九州、沖縄あたりは衛星画像からくっきりと見てとることができます。 でも、ヨーロッパやアフリカの国々は、ひとが人為的に引いた国境線で国が分かれていることが多いので、本当に宇宙から見ると、大陸の形は目に見えても、自分の国の形は全く見えないということはあるわけです。 つまり、世界の常識で見れば、国って日本人が思うよりもかなり漠然とした概念なんだ、ということです。日本人はなんとなく、日本列島に代々住んでいて、日本語を話す人間がそこにいれば、それだけでごく自然に「国」が成立するというような気持ちでいます。 ところが世界では、国は日本人が思うより簡単に誕生したり、またその逆に消滅したりするんですよね。 実際には違う言語を話し、違う文化、歴史、伝統を持つ民族が複数集まって成立している国家も少なくありません。そういった国家では常に「わが国とは何か」を国民自身が自らに問い続け、その認識の共有をはかることでしか国家を存続し続けることはできません。 でも本当は日本だってそうなんです。科学技術の発達した現在、この二千年間強力なファイアウォールとなってくれた四方の海は必ずしもこれまでのようには機能してくれません。日本人全員が日本列島に住みながら、「日本」ではない国の国民になる可能性だって全くの絵空事とは言えない時代に来ていると思います。 それに、そこまで徹底的でなくとも、人々の移動が過去にないほど容易ないまの時代、海外で生まれ育ったひとたちが日本人となって生活するようになることも、それほど稀ではなくなってきています。 果たしてこの国は、彼らの伝統をむやみに破壊することなく、逆に融和をはかることによって、そんな彼らとともに同じ「日本」という国の認識をもって存続させてゆくことができるのか。 ネイティブな日本人自身が「日本」を意識していない以上、それはとても難しいことのように思えます。 なので、改めて皆さんに問いかけたいと思います。 あなたの国、日本とは、どんな国ですか? ……とこの本を読んで長々とそんなことを考えてしまいました。