「小説が上梓されたような頃の“話題”」が巧みに容れられ、“街の探偵”的な動きもしている市井の若者の目線で様々な出来事が展開する、シリーズの読者には馴染みのスタイルの作品である。 市井の、特別な地位や立場という程でもない若者が、何やらのトラブルをどうにかすべく奔走してみるという様子を介して、「どうしてこういう時代になった?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」、「こういう様子が“正しい”のか?“正しくない”でも構わないかもしれないが、納得し悪い?」というような、「人生を見詰める材料」というのか「“材料”になり得るかもしれない何か」を供してくれるような気もするという辺りが、酷く気に入っている。 本作では「脱法ドラッグ」を巡る一件、「ギャンブル依存症」に陥ってしまっている男と出会う一件、「ノマドワーカー」なる人達と出会うことから“ネズミ講”的な金儲けに纏わるトラブルに出会う一件、「ヘイトスピーチ」という問題の中で別な悪事が蠢いていたという一件と4篇各々の出来事が展開する。 「ヘイトスピーチ」という問題の中での出来事が、この一冊のタイトルにも採られている『憎悪のパレード』という篇で描かれている。この篇は「どうしてこういう時代になった?」と、本当に考えさせられるような内容だった。 池袋には“チャイナタウン”と俗称されている一画が形成されているということだが、この辺りで「ヘイトスピーチ」という問題が見受けられて酷かったというのだ。 作中、「ヘイトスピーチ」と呼ばれるスローガンを叫んでデモ行進をするグループが登場する。その有様が、主人公のマコトの目線で活写される。「出来過ぎた創作!?」と思ったが…どうやら実際に見受けられた事象を、作者自身が多分目撃しているということであるらしく、少し驚いた。 何やら「満たされない…」が積み重ねられる、積み重ねられ続けているかの状況の中、「人の普通な繋がり」が何処となく軋んでいて、様々な問題が顕在化してしまっている?或いは、作者自身の問題意識を反映しているであろう、主人公のマコトの目線が向いているのはそういう状況なのかもしれないとも思った。 本当に、気軽に手軽に愉しめる一冊で広く御奨めしてみたい…