「ローマ人の物語」の魅力が満載です

私はこの夏イタリア旅行を計画しています。どこを観光しようかと考えた時に、本書を手にして参考にすることにしました。広大な版図を有し、一千年もの間繁栄したローマ帝国の歴史はやはり魅力的です。「帝国」と言っても、ローマ帝国は力で植民地を支配するのではなく、属州の自治権を認めつつローマと同化する懐の深さを持っていました。そのおおらかさ、開放感がローマの気候、強い陽射しと乾いた空気、から来ていることが写真を通してビジュアル的にも読み取れました。イタリアに行ったら、ぜひカピトリーノの丘には行ってみたいと思います。 属州をも同化してしまうローマ人のもう1つの特質は「寛容さ」だとして、著者の塩野七生になぜローマ人は寛容だったのかというインタビューが掲載されています。塩野氏によると、ローマ人の寛容さは自分たちの持っているものを徹底的に活用する能力に由来しているとのことであり、それが自分の民族だけに適用される考え方ではなく、他の民族にも同様に適用された結果ではないかと思います。 ローマ人の物語も後半になると徐々に明るさが失われ、陰影を帯びてきます。恒常的な蛮族の侵入とキリスト教の台頭です。写真でも教会やモザイク画などが多くなってきます。一神教であるキリスト教は当然不寛容です。一方、神を信じる気持ちのピュアな色調も目に付きます。ビジュアル的にもローマ世界の変容がよく分かる本書は、タイトル通りにローマ人の物語の優れたガイドブックになっています。