表題作の「子宝船」の、他人の幸運にあやかりたいという願いには「一抹のやっかみ」が混じっており、それは「小雨のひと降り」で憎悪に変貌しうるというくだりが印象に残りました。そういった人情の機微が、特定の人物を「人々の憎悪のターゲット」にするため、意図的に利用される場合もあるということなんでしょうね。登場人物の中では(主人公の北一と相棒の喜多次も楽しいけれど)絵の上手な男装の女武者・栄花にも好感が持てました。今後の続編の中で活躍してくれると嬉しいです。