フランス史既習者へ
「フランス史10講」などというタイトルがついているが、フランス史における重要なエピソードの物語(histoire)ではなく、フランス史における各事象を歴史学・社会学の観点から分析したものである。その意味では、中公新書の「物語歴史」シリーズとは相当趣きが異なる。本書ではフランス史の紹介はしないので、高校卒業程度の世界史の知識は必須である。その意味では大学教養課程以上の読者を想定しているが、大学専門課程以上の者でも西洋史専攻以外の者には結構ハードであり、お手軽に読める本とはいいがたい。高校生で将来文学部で歴史学を専攻しようと考えている者には、高校までで習う「歴史」と大学で学ぶ「歴史学」の落差を痛感できる良い機会となると思う。以下、第6講フランス革命と第一帝政より抜粋。「変革主体にとって最も重要な属性は政治プログラムである。王権と高等法院が抗争を繰り返す原因は、一方には課税の「平等」の名の下に中間団体の「特権」を否定する王権側、他方には政治的「自由」の名の下に王権の「専制」を否定する貴族側の論理が両立不可能なことにある。これこそがアンシャン・レジームに内在するディレンマなのだが、来るべき全国三部会を立憲的な国民代表機関に転換することで、一刀両断にこの決着をつけようとするのがそのプログラムである。言い換えると、社団原理で編成されている国家機構の外にある社会的結合関係こそが正統性を持つ「公共圏」なのだという理論であり、ここに「国民」の観念が誕生する。」以上、御参考までに。
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