人は多様にずるをする!ずるの正当化がすご
著者ダン・アリエリーはイスラエル系の米国人で、デューク大で教鞭をとっている。イグ・ノーベル賞も受賞。人間の行動、心理、倫理規範などの連関についてこれまでのコンベンショナルな考え方を覆し新たな定式を提示する点が斬新であると感じました。
本書では人間が行う「ずる」に焦点が当てられています。
これまで一般的に考えられてきた「ずる」の定式は「合理的な犯罪モデル」SMORC(Simple Model Of Rational Crime)に従うとされてきました。これは、犯罪を犯す人が費用(罰や関連するデメリット)と便益(不正により得られたお金や快楽)を合理的に判断して犯罪(この場合は「ずる」)を犯すというもの。
もちろん筆者は、人間はそんなSMORCに基づいていないと主張します。じゃあ人はどうやって「ずる」をするのかということをあの手この手の実験を駆使して明らかにしつつ、その背景を類推しています。その結果出てきたテーゼを幾つか紹介しますと以下のようなものがありました。
・現金から離れると不正を誘引する
(他人の財布の現金は盗まないが、会社の備品は平気で盗む。電子マネーでの不正の方が不正を誘引する。-第二章)
・自分の行動が不正行為から離れると不正をしやすくなる
(ゴルフでの実験。手でボールを動かすよりも、クラブでうっかり当たってしまう不正の方が多い。-第二章)
・医薬界や金融業界は顧客との利益相反が多く、意識的・無意識的にバイアスのかかる発言をする
(多額の補助金を製薬会社から受け取る医師・医学部教授、高額なボーナスをぶら下げられる金融業界人 -第三章)
・消耗すると、欲求を抑える力・合理的な判断力が減退する
(浮気癖のある人が、その気持ちを抑えることで疲弊し、合理的にはやるべきではない暴飲暴食に走る -第四章)
こんな感じです。これ以外にも多種のケースで人が「ずる」をするパターンを調べています。「ずる」における人の心理や行動のバラエティの豊かさにちょっと感動しました。
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こうした人の癖は、単に読み物として面白いだけではなく、自分が意思決定をするときにもやはり役に立つと思いました。
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