ステレオタイプ脅威の影響の中身として1.マイノリティに対する不安2.モチベーションの低下3.思考に集中できなくなる4.それらを理由とする長期的に見た能力低下 などが挙げられているが、本書に出てくるステレオタイプ脅威の個別の事例にどの中身がどれほどの割合で影響しているかといった考察はほとんどなく、研究結果の精査にまだまだ余地があると感じた。 またステレオタイプ脅威に対しての解決策として1.自己肯定化2.学びの機会と捉えるポジティブシンキングなどが挙げられているが、様々な要因から効果は限定的で少なくとも万能の解決策とは言い難いと筆者も認めているように見受けられる。 結局のところ、本文にあるように偏見をなくしたとしてもマイノリティに分類される不安などの理由からステレオタイプの影響からは逃れられないのであり、環境をあらかじめ自ら選択する(マイノリティに分類されるような状況をあらかじめ避ける)こともステレオタイプ脅威の影響をコントロールできるという点で有効かつ確実な解決策として挙げざるを得ないという言い方を筆者はしている。 マイノリティに属することを極力避けようとする(似た者同士、共通点が多い者同士で集まる)態度や行動は社会を分断に向かわせ、ステレオタイプの脅威を助長する恐れがあるので好ましくないという論調の筆者ではあるが、ステレオタイプ脅威の影響の受けやすさには個人差もあることから、結局のところ結果の原因が選択の自由も含めた本人の能力に起因する(マイノリティでもやっていけるという自負など)のだとすれば、あまり神経質にならなくてもいいのでないかと個人的に思う。 マイノリティでもやっていける自信がない人は事前にマジョリティ側に回ることを期待するのがやはり無難で、そのためには最低限の自己分析や所属先の状況を把握しておくということが一番大事だと思う