最初はとにかく美しい文章に目が眩んで、至福の一時を味わっていましたが、読み進んで行くと次第にそうはいかなくなり、甲野さんや小野君に同情したり共感したり、宗近君の存在が眩しく感じられたりと落ち着かず。
一時も気が抜けない小説でした。
特に会話の緊張感の表現が凄い。ちょっと気を抜くと置いて行かれてしまう。
現実世界でこんなに緊張感のある会話はまずない。
それが面白いのだけれど。
ラストの辺り、宗近君が妹と甲野さんを説得する場面は何故か泣けた。
人前だったので、文字通り涙を流したわけではないけれど、久しく感じたことのない感動を味わった。
これは著者の代表作ではないのかも知れないけれど、それでもとても素晴らしい作品でした。
「草枕」と同じく、これも何度か読み返すことになると思います。
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