登場人物各人のサバイバルストーリー
高嶋さんといえばクライシスもの。現実に起こりうる国家的な危機と恐怖を題材にし、時をおいて発生した東日本大震災と巨大津波のことを、予言者のごとく著書「M8エムエイト」、「TSUNAMI津波」で著していたことに驚くばかりです。
本書では、南海トラフ大地震が発生して3年後、活火山である富士山が大噴火するという設定です。
主人公の新居見充は富士山の麓・御殿場市の養護老人ホームの施設長、3年前まで陸上自衛隊のヘリ・パイロットだったが、南海トラフ大地震で妻と息子を失った。助かった娘は、陸自ヘリでの救助で家族の眼前に迫りながら、母と弟を助けなかった父を恨み、絶縁状態だった。
頻発する火山性微動~小規模噴火~大規模噴火に至る過程で、新居見が、東京の病院に勤める医師の娘が、老人ホームの入居者が、御殿場市の市長を初めとする職員・消防・警察が、そして自衛隊がとった行動とは。。。
富士山噴火という「非日常」を扱いながら、その状況描写は臨場感たっぷりで、登場人物各人のサバイバルストーリーが展開され、読み応え十分でした。
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■本書の基本情報
・筆者:高嶋哲夫(タカシマ テツオ)
・略歴:1949年岡山県玉野市生まれ。慶應義塾大学工学部卒業、大学院修士課程修了。日本原子力研究所研究員を経て、カリフォルニア大学に留学。'79年、原子力学会技術賞を受賞。'94年「メルトダウン」で第1回小説現代推理新人賞を受賞。'99年、「イントゥルーダー」で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞。
・発行:集英社
・発売:2017年7月(第2刷)
・ページ数:641p
■これまでに購読した高嶋哲夫の著書
・「M8 エムエイト」 … 2008年6月(第6刷)
・「TSUNAMI 津波」 … 2008年11月(初版)
・「原発クライシス」 … 2010年3月(初版)
・「東京大洪水」 … 2010年7月(初版)
・「首都崩壊」 … 2017年12月(第3刷)
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