東北の山村から北海道へ移民した一家、とりわけ「つね」と「とわ」という二人の母子の生涯が描かれる。 上巻はとわが成長するまで母親であるつねの目線で語られる。身勝手な亭主のせいで過酷な自然と格闘しなければならなくなったつね。自らの甘さが招いた結果だというのに少しも覚悟の決まらない夫に比べ、このつねの肝のすわり方はどうだ。 「楽しい」などという言葉は初めからなかったかのようにただひたすら生きるために働く。 とわの少女期の描写には明るさが見えて、もしかして希望が待っているかもしれないと期待しながら読むが、作者はそんな浮ついた物語の進め方を許さない。冷酷なまでに厳しい現実をつきつける。 あらすじだけを追えばまったく救いのない物語のようにみえるが、伝わってくるこの手ごたえはなんだろう。 全編を通して、人はなぜ生きるのか、「生きる」とはどういうことなのかを読者に問いかけてくる。 おそらく一生涯答えのない問いかけには違いない。作者もきっと問い続けていくのだろう。 こうやって地に足をつけ、ひたすら生きる。とても単純で難しいこと。 作者はそれをこの母子を通して伝えてくれる。