夢枕氏の山岳小説を谷口ジローの絵でコミックにしたものだが、これは、なかなか読み応えがあるものです。夢枕氏の小説は、卓越した物語性と、人間の中にある霊性を実体化するような描写に特徴があります。サイコダイバーシリーズも、陰陽師も、神々の山嶺も、この点では共通のトーンを感じます。いつものコトながら縦横無尽とは彼のことを言うのでしょう。谷口氏の絵は、これもすばらしい背景やディテールに感心させられます。作中に、羽生のライバルとして出てくる、登山家 長谷常雄は、言うまでもなく 故 長谷川恒夫氏のことですが、これもよく描けている。長谷川氏のファンとしては、感慨深いものがありました。