本当に「極個人的な記録」という感じのモノが、国外で眼に留まって本になったという感じなのだと思う。著者は夫や子ども達と共に高層集合住宅の9階に住んで居た。戦禍がハリコフの街にやって来てしまった。訳も分からずにアパートの地下に避難した。訳も分からない中、スケッチブックに鉛筆で画を描き、何事かをメモするように綴って気を静めて、子ども達を護ろうとしていたのだ。やがてハリコフから脱出することを決断するが、駅へ向かうタクシーがやって来るまでの10分間程で慌ただしく準備して飛び出した。後から聴くと、戦禍の混乱で列車が停まったということも在ったらしいが、彼女達は西部のリヴォフ(リヴィウ)を経てポーランドのワルシャワに出た。そこからブルガリアに出て落ち着いたようだ。
本当に差し迫った中で、未だ幼い娘を見詰め、娘との何気ないやり取りを走り書きのように綴っている様子を見て、何か酷く心動かされた。砲弾が飛び交ったような戦禍の街に在り、更に訳も判らずに脱出をしていたという中、著者が「拠所」としたのは「子ども達の母であること」と、「画を描く表現者であること」であったのかもしれない。本書は非常に迫るものが在る。一見の価値在り!!
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