今まで勝手に「紀行文」だと思い、敬遠していた「吉野葛」ですが叙情的で素晴らしい作品でした。著者の円熟味ある文章と語り口がたまりません。読みながら吉野の風景(白黒写真あり)が浮かんできて、舞台である山に行ってみたくなりました。「蘆刈」は谷崎らしい登場人物や人間関係が緊密に描かれていて安心して読めます。