当然ながら、本作はフィクションで、古代史の世界を拝借して、史上の人物達をモデルとする劇中人物達が物語を展開するのだが、奥が深い古代史に愉しく触れられる作品になっている。他方、古代史の世界を舞台とはしているが、理解者や敵対者との色々な交わりの中で「巨大な野心」を燃やす男の物語として、或る程度「普遍性」を帯びているのが面白い. 『比ぶ者なき』(ならぶものなき)という題名であるが、これは本作の主人公の名に由来するものである。「藤原不比等」という、「日本史の教科書で、とりあえずその名を視掛けたような?」という人物が主人公だ。「不比等」という名は「等しく比ばず」ということで『比ぶ者なき』(ならぶものなき)なのだ。 当初は寧ろ不遇な位置にあった主人公が、如何にして『比ぶ者なき』となって行くのか?「巨大な野心」の正体はどのようなものか?なかなかに興味深い物語だ!