人はみな唯一の存在

映画は劇場公開時に鑑賞。 今回は、DVDと合わせてこのノベライズを購入しました。 原作というわけではないですし、完全なノベライズでもない、それぞれ補完する作品なので、DVDもしくは本作を気に入った方は、両方を手に取るとよいと思います。それぞれの良さがあります。 異端と異形(モンスター)と孤独の話です。 人魚姫は、陸で生きる足の代わりに声を失いますが、ヒロインであるイライザは頼みもしないのに声を奪われました。 だから靴を履くのです。 ギル神は、その種の最後の一個体で、イライザは声を出せず、ゼルダは黒人女性で、ボブはそしてジャイルズは・・・。 ギル神を除き、それぞれ普通とは異なることで、透明人間(存在しない存在)としてみなされ、自分らしさを押し殺し仮面をつけて生きています。 とはいえ、つきつめれば、人はみなどこか少しずつ異なる部分を持っているただ一人の存在ともいえます。 その中で、孤独に囚われて既成の概念や圧力でがんじがらめになるのも、また自分自身なのです。 それまで押し殺していた「自分らしさ」を解放し、自分の足で立ったとき、人は初めて真の意味で自由になり繋がりあうのでしょう。 映画と比較して、ノベライズの中で際立っていたのは、ギル神とストリックランドの内面描写でした。 ストリックランドは、造りだされた異形(モンスター)でした。 ギル神の人称は、意外なことに「われわれ」。一人きりの存在かと思いきや、実は境目などないありとあらゆる存在でした。 水の如く敵意さえ包み込む万象です。 解放の行きつく先は様々でしたが、もはや孤独ではありません。