戦国時代を背景とした時代モノの小説だ。本作の主要視点人物となるのは宇喜多秀家(1572‐1655)である。
宇喜多家というのは、起こった当初は浮田家であったというが、嫡流の家が「宇喜多」と佳字を当てるようになって行ったのだという。庶流は「浮田」という字を使い続けたそうだ。現在の岡山県に相当する備前国、美作国というような地域に在った。宇喜多秀家の父である宇喜多直家の頃に戦国大名として台頭する。織田信長陣営と毛利家陣営との間で、備前国、美作国に加えて備中国の一部や播磨国の一部にも勢力を拡げて行ったという。
物語は、宇喜多直家の最晩年頃、未だ11歳の宇喜多秀家が家を継ぐような辺りから始まる。本能寺の変の後、豊臣秀吉が台頭するという状況下、その豊臣秀吉の庇護を受けて宇喜多家を継いでいくような時期以降のことが描かれる。
作中、朝鮮出兵を経て豊臣家の求心力が弱まり、豊臣秀吉の薨去ということになり、関ヶ原合戦の局面となる。戦後、宇喜多秀家は生き長らえるのだが、そこに在った想いや、何が在ったのかということが描かれる。
豊臣家の中で色々な事が在ったような時期には、豊臣家の人達と家族同然に過ごしていた宇喜多秀家は色々と悩む。そして2度の朝鮮出兵では主力部隊の大軍を動員することになる。他方で所領の備前を豊かにすることに心を砕いていたが、家中では諍いが絶えなくなる。そういう中で関ヶ原合戦である。宇喜多秀家は西軍に参加して敗れる。敗れた後の物語が少し興味深い。
宇喜多秀家は、関ヶ原合戦迄の人生よりも長い期間を“流人”として過ごすこととなった。何故、そういうことになったのか?彼が夢見た「楽土」とは何か?色々と考えさせられる内容だった。広く御薦めしたい。
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