「“民俗学”って何?」という扉を開いてみて、更に在る多数の扉を指し示すような感だ。民俗学の研究で論じるような事柄、「くらし」、「なりわい」、「つながり」というような人々の営為を考える扉の鍵になり得る話題を提示しているというのが本書であると思った。 “民俗学”というのは「成果を挙げている営為」から「失敗を繰り返してしまうような営為」に至るまで、人の在り様「そのもの」を論じてみようとするようなモノなのかもしれない。 それは「過去から積み上げられた何か」を追うことにもなろう。が、「記録」を紐解く「歴史学」、「発掘されたモノ」を分析する「考古学」とは少し違う。そこには「人々の記憶」とか、「記録」や「発掘されたモノ」とは一味違うかもしれない、「人々の営為が在った何らかの証」を探ってみようとする活動が入り込むのだと見受けられる。 そういうような事柄に関して、著者御自身の想い出のような手近な所から、よく在りそうな、多くの人が想起し易い何かを引き合いに、実に巧みに語っているのが本書だと思う。 結局、“民俗学”が見詰めようとする「人々の営為」そのものは、遥かな大昔から延々と現在に至り、未来へと続く。それに寄り添ってみようとするのが“民俗学”だと思った。だから昔の何かの慣行の変遷のようなことから、近年のネット社会の変遷のようなことに至るまで、何でも論じられるという側面も在る“民俗学”だと思った。 本書は、色々な物事を考えて行く上でのヒントのようなモノを多々与えてくれていると思う。一寸愉しいので広く御薦めしたい。