集大成
文字通り、オリヴァーの人生の集大成であり、幼少のころに深い森の中に置き去りにした「彼自身の一部」を、ようやく取り戻す物語です。
シリーズ当初から読んでいますが、実はそのころからこの主役であるオリヴァーに対して、他者を立ち入らせないだけでなく、彼自身、自分の内面を深く掘り下げようとせず目をそらしているのではないかと、不信感を抱いていました。その理由が、本書を読むことで明らかになりました。
オリヴァーとしては、貴族といっても華やかな暮らしからは程遠く、むしろ古い城や領地の維持費等で大変だったのに、彼をとりまく人々にとっては、その血筋ゆえに格上に見える、さながら「トロフィーのような存在」だったわけです。そんな中、振り返ってみれば真の友人はたった3人(2人+1匹)だけだった。そんなかけがえのない二人がある日忽然と消えてしまった、しかも、森の中へ歩み去る二人をいつも通りに見送った後に。生死さえわからない。あたりまえだと思っていた人や日常は、待てど暮らせも戻らない。となれば、幼いオリヴァーにできたこととえば、二人への感情を深い森の中に埋めて置き去りにすることだけでした。
そうやって生きてきたオリヴァーの人生における最大の謎が、本書で紐解かれます。オリヴァー自身が、自分のことを理解してくれていたと信じている相手さえ、実はとんでもない思い違いだったという事実に戦慄が走ります。
子供時代に彼を捕らえた壮絶な悪夢から、長い歳月を経て解明された今、オリヴァーはようやく自分自身を取り戻し、前を向いて歩みだすことができるのでしょう。そう願います。
それにしても、八作目にしてこれをもってきたノイハウスに脱帽です。
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