普通の人が理解できる大変な家庭

著者は2018年に、自身の父親が教祖である新興宗教、幸福の科学からの離脱を宣言した。これに対して教団は猛反発したことから対立はエスカレートし、現在はYouTubeを中心に互いを非難している。また、教団は著者に対して損害賠償を求める裁判を起こしている。 しかし著書の内容は、教団の悪辣さをこれでもかと書いたものではなく、むしろ教祖や弟妹たちも長所も欠点もある普通の人間だということを描いている。著者の自由がない幼少期は、カルトに嵌った親が教義で子供を縛っている状態よりもむしろ、過度に教育熱心な一般家庭を想起させる。教祖の後妻や著者の弟妹たちの権力争いも、宗教的な用語でコーティングした普通の権力争いである。 親が教祖という家庭はなかなか無いだろうが、そこで起きていた問題は、一般社会に生きている人間が理解できないような狂ったものではない。もしくは、幼少時の環境が理不尽に厳しかったからこそ洗脳されなかった著者が、一般社会にも理解できるところにうまく問題を落とし込んでいるのかもしれない。