最初の物語で渚が言う「整数の性質に意味なんて求めませんよ。ただ、面白いから考えるんです」が、このシリーズで扱われる数学全てに通底する考えなのだ。「クッキーが左から順に(中略)だとしたら差は「1」です」の「差」に翻弄され、ずっと甘・中・苦に数を代入して苦悶してしまった。加法の公理から数の代入は意味をなさないのだな。エッシャーのだまし絵は好きだ。それがペンローズ・タイルという数学に落とし込まれることに驚いた。渚の数学に対する純粋さが、最後に武藤と瀬島を救った。あわや黒い三角定規に入らされる寸前の逆転劇だった。