音を楽しむ、これぞまさに音楽

実を云うと当初は話題が先行しているのかな?、と少し遠くから眺めていたのです。ところが、試聴してすっかり魅了されてしまいました。 何とのびのびと楽しげに謳っていることでしょう。超絶技巧を誇示するのではなく、勿論しっかりとした技術の裏付けの上に、奏でることの溢れんばかりの喜びが伝わってきます。 叙情的で繊細で、物憂げな表情さえ覗かせていたショパン が、肩のほぐれるような躍動感、季節で云えば春の顔を見せています。所謂「教養」などと取り澄ましたものでなく、音楽の楽しさを教えてくれる演奏です。 受賞インタビューで「素敵な恋をして、演奏に反映できるようになりたい」と語っていた辻井さん。例えばショパンを切り口に、人生の年輪の定点観測が今から楽しみです。