豪華で面白くてためになる

ごく一部の過激派のテロ行為や、イスラム法を運用している国家における人権問題のために「イスラム=怖い」というイメージばかりが先行して、イスラム圏が芸術や科学の進展に大きく寄与した歴史的事実が忘れられがちなのは残念です。本書は、巻頭と巻末のデータ欄を除けばオールカラーで、美麗な写真やイラストが満載で、文章も平易で分かりやすく楽しく読めます。分かりやすい文章ですが、内容は充実しています(特に建築に関する章は間取り図や俯瞰図など視覚的な説明も添えられていて親切)。 イスラム美術が栄えた地域と時代は非常に幅広く(インド、ペルシア、トルコ、中央アジア、アラビア半島、北アフリカ、スペイン南部)、約150ページのコンパクトな本によくぞ綺麗にまとめたものだと感心しています。解説の対象となる分野も、建築・書道・陶芸・ガラス・宝飾、細密画、染織などなど盛りだくさんです。筆者と編集者の奮闘に敬意を表したいです。2009年末の新聞の書評で大絶賛されていたので気になって購入しましたが正解でした。何度も読み返して楽しめる一冊です。