躁うつ病当事者の尊厳を回復させる本

双極症当事者で就職を考えている方、就労中の方必読の本です。筆者は双極症当事者で20代で4回の転職と4回の休職を繰り返し就労する自信をすっかり失っていたなかで、現在の障害者就労支援会社で支援スタッフとして13年勤務しています。 私は双極症と自閉スペクトラム症の当事者で総合職を退職し生き方を模索していた時期に筆者の主催する双極と就労をテーマにした当事者会に出会いました。その場で「自分(筆者)は双極症当事者であること」「そのために退職を繰り返し苦しんだこと」「そう状態で迷惑をかけたこと」等をはっきりと報告していました。筆者の姿勢は当事者である私に衝撃を与えました。双極であることを恥ずかしがらずに明言すること、双極で失敗したことから学び躁状態のサインを見過ごさず対処する方法などを実践していることを聞いて大変励まされました。 双極当事者は躁状態での失敗ややらかしによって人間関係を悪化させ自信を失っています。投薬治療で症状が抑えられても、また躁状態になるのではないかという不安や、うつ状態の辛さから軽躁なら良いのではないかと自分の体調と常に向き合っています。この本には筆者の経験から双極でも平穏な日常生活を送る実体験に裏打ちされた経験と知恵が溢れています。筆者が長年取り組んできた双極はたらくラボに参加した人の経験と知恵が凝縮されたものなので多岐にわたっています。当事者が実践して上手くいっている方法をひとつでも継続してみる、困ったり不安な時にあてはまるキーワード「躁・多弁」「躁・散財」「うつ・罪悪感」 のところだけ読むだけでも対処方法を学ぶことで読者は自分の症状と向き合う助けになるでしょう。 この書は双極当事者には自分の症状や気持ちに共感できるでしょうし、支援者、家族の方には当事者が何に苦しんでいるのかがわかりやすく書いています。双極によって自信を無くした人の尊厳を回復するには平穏な状態を継続し、自分の出来る範囲で就労していくことだと思います。社会は分業によって成り立っており、自分の出来る範囲で就労をすれば良いのです。そのために双極と向き合い波と付き合いながら働いていけば居場所と信頼を得ることができ自分の事だけでなく相手のことも受け入れられるようになると思います。その一歩を踏み出す実践的な本です。私は手元に置いて、いつでも読めるようにしておこうと思います。