原題は「永遠の友情の中で」、それを思い切り意訳した「友情よここで終われ」・・・。終わりまで読み切って、この邦題も大いにアリだとワタクシは思いました。
シリーズも10作目になり、そろそろマンネリ化するかと思いきや、それは杞憂に終わりました。エンターテインメントとしてもミステリーとしても面白さが加速しています。
まず、本作でのスパイスの一つはピアの元夫ヘニングの作家デビューです。法医学者と元妻の首席警部が現実の事件をもとにした難事件に挑むミステリーのタイトルは「悪女は自殺しない」・・・おやおやおや。これが大成功をおさめ満を持して発表するシリーズ二作目のタイトルは「死体は笑みを招く」・・・おやおやおやおや。もちろんお貴族様の首席警部も動物園園長も出てきます。こういった遊び心がきいた仕掛けの他に、キョーレツな新キャラも出てきます。その名も「鶴」!エンゲル所長にしか本名を覚えてもらえない元ベストセラー作家にして驚異的な映像記憶力の持ち主です。捜査に大きく貢献、活躍します。
本作の紹介文なぞ、ほんのさわりで過去に現在、ドイツにフランスの島等が交錯し、物語がどんどん膨らんでいきます。
サイコパスによる猟奇殺人を題材にした前作の「母の日に死んだ」と比較すると、本作は正統派の推理ものといった風合いです。前述の仕掛けや強烈キャラが織り込まれつつ、初めから終わりまでミステリーの本筋が見失われることはありません。そのため読後感も極めて爽快かつ充実感があります。
久しぶりに後味の良い、しかも読み応えのあるミステリーを読みました。
次作にも期待です。
なお、本作だけでも楽しめますが、上述のような仕掛けがあるのでシリーズの前の作品からお読みになると、いっそう満足度が増すでしょう。お勧めです。
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