斎藤道三と、その父の長井新左衛門、その息子の斎藤義龍の三代という物語であるが、同時に斎藤道三の祖父である松波高丸も登場するので、斎藤道三を三代目とする物語という一面も在るかもしれない。そういう様子を、長井新左衛門と少年という年齢の頃に出逢って行動を共にし、斎藤道三や斎藤義龍の近くに在った源太という男の一代記的な時間軸で描いているという、なかなかに凝った造りの物語だ。 斎藤道三は美濃国に君臨した戦国大名である。一介の商人から身を興したというような伝えられ方をしてもいたが、実はその父が美濃国で台頭し始めていて、斎藤道三はそれを継承しながら、美濃国の支配を固めて行ったのである。そして色々な物語が伝えられるが、息子の斎藤義龍の時代になって行くのだ。 本作はその美濃国で二代で台頭して行き、三代目に至ったという経過を踏まえて創られた物語になっている。故に物語の冒頭は、法蓮房と名乗る法華宗の僧であったという斎藤道三の父が登場する挿話から起こっている。 未だ少年の源太や、他に色々と訳が在りそうな男達が或る仕事を請負うべく待ち合わせ場所に在る。そこに法蓮房がやって来て、その一団に加わった。そして或る仕事に臨むことになるのだが、それが契機で法蓮房を中心とする同志の一党が結成される。この一党の行く末というのが本作の物語ということになる。 法蓮房は「国滅ぼし」と仮称する秘密が在って、その秘密を護り抜かなければならないとしている。この「国滅ぼし」とは何なのか?秘密兵器か?秘術か?或いは何らかの秘策か?そしてこれは息子の斎藤道三の代にまで受継がれて行く。 「国滅ぼし」の秘密は秘密として在るのだが、法蓮房が長井新左衛門となって美濃国で重きを為して行く中での、様々な謀略や戦いの様が非常に興味深い。これは息子の、やがて斎藤道三を名乗る長井新九郎の代になっても受継がれる。 世代が下って行く中での「時代の変化」、「社会の変容」というようなことが在るのだと思うが、そういうことを押さえた物語だ。そしてその三代の近くで人と時代を見詰めたということになる源太が在る。非常に興味深い物語で、広く御薦めしたい。