そう簡単ではないが、そうするしかない

タイトル自体はものすごく癒しを感じるが、本文にある「なせ人は心を病ませるのか」に対する分析は、心を病んでいる当人にとってはかなり辛辣で、かえって辛くなるかもしれない。他人に甘えず、他人に迎合せず、嫌われようがどうなろうが自分の長短を受け入れて自分の人生を生きろ、という著者の指摘は、気が楽になるよりはそれこそ逆に責められているようにも感じる。しかし、あまりにも正論なので、返す言葉がない。「こうすれば、悩みは消える」と言っているのだが、変な期待をもって読むと「あなたがこうだから、あなたは鬱になるのだ」といわれているように、逆に責められているようにも読める。むしろこの本は、鬱への理解が皆無に等しい、心の病に対して無頓着な人が読んで、鬱に苦しむ人との接し方を考えるための本かもしれない。もちろん、鬱を克服したいと思う人も、その勇気を得るためには読んだほうがいいのだが、かなり受け入れるには時間がかかるかもしれない。彼の本を何冊も読んで、いまいち理解ができないのは、幼児期に経験するはずの「甘え」を経験しないで年だけとって鬱や神経症に悩んでしまったならば、いくつであろうが幼児的願望を満たしなさい、そうすれば鬱は治る、と言っているのだろうか?