著者は中野学校1期生という経歴。著者と思われる一人の情報将校・久村の動向を中心に小説仕立てで書かれている。選抜試験の凄さや天皇制に対する自由な討議に関する記述はなく、他の中野学校関連書籍でのイメージと違う印象を受けた。本書の中心は久村が中野卒業生として赴任した中国大陸での特殊任務だ。中野卒業生に対する一部の陸軍上層部の無理解のために、謀略作戦が無に帰するのみならず、中国人の反日感情を激化させることになった。もし中国で反共工作が成功していたら……そんな詮無いことを想像してしまった。