香取慎吾の存在感

「凪待ち」は、最近の日本映画では珍しく原作(小説及びコミック)がないオリジナルシナリオ(加藤正人脚本)である。オリジナルシナリオというのは、興行的な作品の知名度を考えるとなかなか出来ないのだろう。実はこの映画の製作会社(木下グループのキノシタ・マネージメント)では珍しくなくて、稲垣吾郎の「半世界」(阪本順治監督)、草なぎ剛の「台風家族」(市井昌秀監督)もオリジナルシナリオ勝負である。ジャニーズ事務所を辞めて地上波のテレビに出られなくなった(最近ようやく少し出られるようになったが)、新しい地図の3人を使っていることから分かる通り、この会社と配給のキノフィルムズは、芸能界の古いしきたりに忖度しない姿勢が素晴らしい。民放テレビ局と電通等の大手広告代理店が絡まない、独立系の会社故に起用出来るのだろう。のん(能年玲奈)も、旧所属事務所のレプロからの独立問題で揉めたためテレビから干されてしまったが、最近公開された「星屑の街」ではヒロインを務め、女優としての存在感、オーラは抜群であった。この映画もインデペンドで作られたため忖度なく主演に起用できたのだろうが、普通の感覚の製作者だったら、この映画の能年玲奈を見たらドラマに起用したいと思うはずだ。だが、現在の芸能界では、この映画も他の2人の映画も、「星屑の街」もテレビではワイドショー等で一切紹介されることなく無視されている(能年玲奈の映画は久々の主演作と話題性があるにも関わらずである)。昭和の渡辺プロ全盛時代に、日本テレビで「スター誕生」を制作する際に、そのあまりの横暴振りに反旗を翻し、敢然と立ち向かい筋を通した井原高忠というプロデューサーがいた。結果的にここから山口百恵や桜田淳子、森昌子がスターとなり、渡辺プロの凋落が始まるのだが、そういった芸能事務所に忖度せずに、視聴者が望む俳(女)優を起用しようと思う民放のプロデューサーやディレクターはいないのかね。情けない話である。ネット全盛の時代、芸能界の裏側や闇は一般の人にも広く知られるようになり、寧ろジャニーズ事務所やレプロ、各テレビ局のやっていることは、自らの首を絞め、自分たちの評判を落とすだけだと気付くべきである。このままの状態が続けば、ますます一般視聴者のテレビ離れが続くことになるだろう。