非常に苦労して読んだ。二十世紀文学に激震を与えた二重小説という帯の謳いがあったが、二つの話が平行しているだけ。意識の流れとストーリーがちぐはくさを感じてなかなか前に進まない。研修医ヘンリーと二児の母の愛の逃避行と言ったらそれまで。自分のなじんだ環境を深い絶望に似た気持ちで見回したりするーもう虚無にとらわれてくると頁をめくるのもやになってくる。囚人のはなしの方に癒されてくる。まあとりとめもない話しだ。解説にフォークナーは恋愛の話が萎んでくると、オールドマンを書いたという、述べている。その通りだ。読者の興味も萎みっぱなしになってしまっている。