物語や歴史上の人物を精神科診断してみたら
時は2020年。コロナウイルス流行で、大学から講義や実習をすべてオンラインで行うよう要請された著者らは、何を以て代用とするかを検討していた。そこで提案されたのは、「物語や歴史上の人物を精神科診断させるレポートはどうか?」だった。
かくして行われた、医学部生たちによる"史料や作品を元に直接対面しない相手の精神を分析する"という思考実験。対象はジャンヌ・ダルクにファン・ゴッホ、ヘミングウェイに織田信長、さらに『ドラえもん』ののび太や『ONE PIECE』のルフィといったフィクションのキャラクターまで。著者らはこれらのレポートをどう評価したのか。
実在だろうが虚構だろうが、人物の正確な精神分析は、実は専門家でも難しい?
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医学生の診断レポートをもとに、教員が真面目にキャラクターの精神を考察してみた、ちょっと変わり種の精神分析の本。学生ゆえにどうしても粗さや先入観が目立つ考察を、著者が専門家の視点からツッコミ、もといコメントをしていく。
学生の先入観による精神分析は、視点を変えれば我々読者、素人によるそれに近いとも言える。それは、読者は著者のコメントから、精神分析や精神医学に対して正しい認知を得る機会を得られるかもしれないということだ。
他方、個性(キャラクター)を分析すると、強弱の差はあれ、精神疾患やパーソナリティ障害といった面が顕になる点は、キャラクターの創造において参考になるのではないか。そういう気付きを刺激する点で、本書は物語を創作する側の人も一読に値する良書だろう。
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