報道の品質を考える
著者は、毎日新聞で科学環境部長、編集局次長などを務めた瀬川至朗さん。
なぜ新聞・テレビの報道で失敗がおこるのか。そして市民の不信感を起きおこすのか――この課題に対し、STAP細胞、福島第一原発事故、地球温暖化という3つの題材を取り上げ、各々の報道された内容を具体的に分析し、ジャーナリズムの原則を導いていく。
これらに共通してみえてくるのは、日本のマスメディア(とりわけ中央の新聞・テレビ・通信社)が政府や電力会社、科学コミュニティ、科学者グループといった権威に重きをおき、権威からの情報を発表報道している姿である。もちろん、個々には明確な問題意識をもつ記者が優れた報道に取り組んでいるケースはある。ここで指摘しているのは、マスメディア報道のメインストリームとして、権威に依拠する発表報道が多いという点である。
また、自身の経験から、記者や編集者が実際の仕事において強く意識するのは、読者としての一般市民ではなく、競争相手としての同業他社であり、他社の記者・編集者であるという。
瀬川さんは、コヴアッチらの著作『ジャーナリズムの原則』を取り上げ、ジャーナリズムの原則は、「3.ジャーナリズムの核心は検証の規律である。【検証】」「4.ジャーナリズムの実践者は取材対象者からの独立を維持しなければいけない。【独立性】」の2つであると指摘する。
製造業に携わっている身として、製品の品質水準として、常にvalidationとverificationが求められる。前者は、規格・基準に沿っているか顧客要求に合っているかを検証すること。後者は正しく動作するかの検証である。
ジャーナリズムもコンテンツという製品を世に送り出しているのだから、当然、validationとverificationが求められるべきだろう。verificationは校正といったところか。瀬川さんが指摘するのは、validationの方である。
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