台湾でデジタル担当政務委員として新型コロナ対策に注力しているオードリー・タン(Audrey Tang 唐鳳)さんが、自らの言葉で、コロナ対策成功の秘密、デジタルと民主主義、デジタルと教育、AIと社会・イノベーション、そして日本へのメッセージを綴ったもの。私より一回り以上若いオードリー・タンさんは小学生の頃からプログラムやインターネットに接しており、ゲームやアニメを通じて、わが国のこともよくご存じ。まるでオタクのような歩みに、とても親近感を覚えた。 ビデオ会議のイラスト オードリー・タンさんは人と話すのは好きで、取材やインタビュー、イベントなどへの登壇に応じる際、唯一の条件として「インタビューやスピーチの内容をインターネットで公開すること」を提示しているという。もっともな条件だ。 オードリー・タンさんの考え方、家族から受けた影響、課題解決への取り組み方、政治的信条など、とても共感できる部分が多い。 手をつないだ世界の人々のイラスト ただ、本書を読んで理解するには、オードリー・タンさんが言う「素養」が必要であると感じた。もし内容が難解であれば、これをきっかけに「素養」を学んでみてはいかがだろか。あなたは、ネットを通じて大勢の仲間と繋がっているのだから――。
もし一定程度以上の知能を有する知的生命だけが訪問・滞在を許される宇宙ステーションがあり、あなたがそこに招かれたとする。見ず知らずの宇宙人から「あなたはどこから来ましたか?」という問いかけに、どう答えるか――そんな SF めいた設定で始まる本書は、歴とした科学啓蒙書である。著者は、車椅子の天才科学者スティーヴン・ホーキング博士に師事した高水裕一さん。専門は宇宙論で、近年は機械学習を用いた医学物理学の研究にも取り組んでいる。 入国審査で言葉が通じない人のイラスト 冒頭の質問だが、「地球という惑星から来ました」では答えにならない。高水さんは、「海外で初対面の相手にどこから来たのかを聞かれて、いきなり「○○県から来ました!」と答えるようなもの」(16 ページ)と指摘する。ごもっとも。 地球の常識は宇宙の非常識かもしれない――こんな疑問を抱きつつ、要所要所に記されている「偏差値」というキーワードを頼りに、神話・宗教から、物理学、生物学、地学(天文学)の知識の棚卸しをすることができた。そして、子どもの頃から感じている疑問を思い出した――。
本書は、2021年4月に亡くなったノンフィクション作家の立花隆たちばな たかしさんが、2010年6月に母校・東京大学の立花ゼミ生に向けて行った講義録だ。取材、執筆、編集までを学生にやらせたという。 立花さんは、1974年に『田中角栄研究』を上梓し首相退陣のきっかけを作ったことで有名なジャーナリストだが、その後はノンフィクション分野にも進出し、『臨死体験』『宇宙からの帰還』など多くの著作を残している。 その活動範囲の広さから知の巨人と呼ばれることもある。本書もそうだが、ともかく話す内容が広く、ある話題から別の話題へ即座にジャンプするので、ゼミ生の皆さんは、自らの知力を総動員して話を聞き取ったのだと思う。 各章末にゼミ生が用意した用語説明がある。これを覚えておけば、オタク知識が増えること、請け合いである。
タイトルに惹かれて買った――著者は、車椅子の天才科学者スティーヴン・ホーキング博士に師事した高水裕一さん。専門は宇宙論で、近年は機械学習を用いた医学物理学の研究にも取り組んでいるという。 冒頭、「まず真っ向から『科学的に無理です』と言い切っても、何も生産性がないので―(中略)―その作品で扱われているテーマをきっかけとして、科学的にはどういう風に考えられているかとか、科学者の目線で好意的に作品を解釈するとどうなるかといったことを、個人的に論じていってみよう」(3ページ)と始まる。ああ、なんてSFラブな天文学者さんなんだろう😍
「ウマ娘」がブームである。そこで、発刊が2006年とやや古いが、「競走馬の未来を切り拓く」JRA競走馬総合研究所が書き下ろした本書を読んでみることにした。 競走馬の心肺能力の高さを具体的な数字で学ぶことができ、また、競走能力には遺伝だけなく環境要因も大きいことが分かった。
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オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る
台湾でデジタル担当政務委員として新型コロナ対策に注力しているオードリー・タン(Audrey Tang 唐鳳)さんが、自らの言葉で、コロナ対策成功の秘密、デジタルと民主主義、デジタルと教育、AIと社会・イノベーション、そして日本へのメッセージを綴ったもの。私より一回り以上若いオードリー・タンさんは小学生の頃からプログラムやインターネットに接しており、ゲームやアニメを通じて、わが国のこともよくご存じ。まるでオタクのような歩みに、とても親近感を覚えた。 ビデオ会議のイラスト オードリー・タンさんは人と話すのは好きで、取材やインタビュー、イベントなどへの登壇に応じる際、唯一の条件として「インタビューやスピーチの内容をインターネットで公開すること」を提示しているという。もっともな条件だ。 オードリー・タンさんの考え方、家族から受けた影響、課題解決への取り組み方、政治的信条など、とても共感できる部分が多い。 手をつないだ世界の人々のイラスト ただ、本書を読んで理解するには、オードリー・タンさんが言う「素養」が必要であると感じた。もし内容が難解であれば、これをきっかけに「素養」を学んでみてはいかがだろか。あなたは、ネットを通じて大勢の仲間と繋がっているのだから――。
宇宙人と出会う前に読む本 全宇宙で共通の教養を身につけよう
もし一定程度以上の知能を有する知的生命だけが訪問・滞在を許される宇宙ステーションがあり、あなたがそこに招かれたとする。見ず知らずの宇宙人から「あなたはどこから来ましたか?」という問いかけに、どう答えるか――そんな SF めいた設定で始まる本書は、歴とした科学啓蒙書である。著者は、車椅子の天才科学者スティーヴン・ホーキング博士に師事した高水裕一さん。専門は宇宙論で、近年は機械学習を用いた医学物理学の研究にも取り組んでいる。 入国審査で言葉が通じない人のイラスト 冒頭の質問だが、「地球という惑星から来ました」では答えにならない。高水さんは、「海外で初対面の相手にどこから来たのかを聞かれて、いきなり「○○県から来ました!」と答えるようなもの」(16 ページ)と指摘する。ごもっとも。 地球の常識は宇宙の非常識かもしれない――こんな疑問を抱きつつ、要所要所に記されている「偏差値」というキーワードを頼りに、神話・宗教から、物理学、生物学、地学(天文学)の知識の棚卸しをすることができた。そして、子どもの頃から感じている疑問を思い出した――。
東大生と語り尽くした6時間 立花隆の最終講義
本書は、2021年4月に亡くなったノンフィクション作家の立花隆たちばな たかしさんが、2010年6月に母校・東京大学の立花ゼミ生に向けて行った講義録だ。取材、執筆、編集までを学生にやらせたという。 立花さんは、1974年に『田中角栄研究』を上梓し首相退陣のきっかけを作ったことで有名なジャーナリストだが、その後はノンフィクション分野にも進出し、『臨死体験』『宇宙からの帰還』など多くの著作を残している。 その活動範囲の広さから知の巨人と呼ばれることもある。本書もそうだが、ともかく話す内容が広く、ある話題から別の話題へ即座にジャンプするので、ゼミ生の皆さんは、自らの知力を総動員して話を聞き取ったのだと思う。 各章末にゼミ生が用意した用語説明がある。これを覚えておけば、オタク知識が増えること、請け合いである。
物理学者、SF映画にハマる
タイトルに惹かれて買った――著者は、車椅子の天才科学者スティーヴン・ホーキング博士に師事した高水裕一さん。専門は宇宙論で、近年は機械学習を用いた医学物理学の研究にも取り組んでいるという。 冒頭、「まず真っ向から『科学的に無理です』と言い切っても、何も生産性がないので―(中略)―その作品で扱われているテーマをきっかけとして、科学的にはどういう風に考えられているかとか、科学者の目線で好意的に作品を解釈するとどうなるかといったことを、個人的に論じていってみよう」(3ページ)と始まる。ああ、なんてSFラブな天文学者さんなんだろう😍
競走馬の科学
「ウマ娘」がブームである。そこで、発刊が2006年とやや古いが、「競走馬の未来を切り拓く」JRA競走馬総合研究所が書き下ろした本書を読んでみることにした。 競走馬の心肺能力の高さを具体的な数字で学ぶことができ、また、競走能力には遺伝だけなく環境要因も大きいことが分かった。