現今のウクライナの問題に関しては、2022年2月に侵攻を開始したロシアを非難するというような話しが暫く出ていたが、その後は「論じられるべきこと」が然程広く出ているようにも思い悪い面が無いでもないと感じている。他方、「より知りたい」に応えるように、様々な論考などが世に問われてもいる。その「より知りたい」に応えるモノに関しては、眼に留まる都度に積極的に読んでいる。本書もそういう一冊になると思う。 本書では、2022年2月に侵攻を開始した責任者たるプーチン大統領に関する生い立ちや政治家としての行動の経過等、ロシア史やソ連史に纏わるようなこと、所謂「冷戦」や「ソ連崩壊」という状況の後の欧州の経過、欧州の中でのウクライナの経過や見通し、侵攻に始まった戦争の行方を考察することと、「論じられるべきこと」を一通り網羅しているように思う。 本書は、全体として所謂「冷戦」や「ソ連崩壊」という状況を見詰めたプーチンが、政治家となって上り詰めて行った中で、ロシア史やソ連史の経過の中で培われた価値観により、或る種の「復讐」のようにロシアの立場を高めようと動き、結果として大きな規模の戦争を起こしたが、揺れている情勢の中で戦争の行方は判らず、思いも掛けずに戦禍は「第三次大戦」というような様子にもなって行きかねないという物語を提示していると思う。 2022年2月に侵攻を開始したロシアを非難するのに対し、必死に独立を護ろうとし、犠牲も拡大しているウクライナを擁護するというのも在る。が、「ウクライナの様子、経過」や「ウクライナの問題」という知識が広まっているとも思い悪い一面は否定し難いようにも見受けられる。本書はその辺りを少し掘り下げていると思う。ウクライナは欧州寄りな立ち位置を目指し、EU加盟を果たしたいとしている。が、非常に多くの「課題」はそこに在る。それが本書では論じられている。 現今のウクライナの問題が、侵攻の開始からだけでも1年半も続き、出口も視えない、判らない中である。静かに学んで考えるということも、より一層必要であるように見受けられるが、本書は「論じられるべきこと」を広く示していて有益だと思う。