至福の読書
イタロ・カルヴィーノの大人向けの文学作品を過去に読もうとして良く分からなかった経験があるのですが、本書は訳者のあとがきにある通りに「大人も子供も楽しめる」、素敵な一冊です。翻訳ものにありがちな硬さや説明っぽさは少しもなく、自然なハミングの様なリズムに乗って物語が進みます。民話が元ななので、結末は「めでたし」だと途中で予測がつきますが、その結末に至るまでがオリジナリティに満ちていて、予想もつかない物や表現がでてくるので、夢中で読みました。40年前に邦訳された作品だとはとても信じられない新鮮味があります。
安野光雅の装丁と挿画も秀逸です。表紙絵の太陽の顔のような神秘的な無表情を描くことでこの人の右に出る人はいないと思われます。画中の建築物もまた、この人ならではの数学的な美しさに満ちています。
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