古き良き時代の汽車旅を追体験できる本
汽車旅の食事から見た欧米鉄道史の本。
●良い点
・駅・列車内で供された食事が、一部レシピ付きで詳しく書かれている。
・「オリエント急行」に乗れるぐらいの上流階級者の乗客について詳しい。そのため、19世紀末~20世紀初頭にかけての、古き良き時代の汽車旅を追体験できる。
・欧(オリエント急行)と米(20世紀特急)との対比が面白い。
・主として米国でのことであるが、食堂車など鉄道側の食事サービス運営についても詳述されている。
●残念な点
【副題が不適切】
・副題に「新幹線」と入っているが、これが不適切。日本の新幹線はもちろん、TGVなどの欧州・中国版新幹線も、【全く出てこない】。
・強いて「新幹線」に関する部分を挙げれば、1960年のタイム誌からの1行半の引用で、「日本の高速列車」の車内販売に触れている程度である(250ページ)。しかも、最初の新幹線である東海道新幹線の開業は、1964年。文脈から、この引用文中の「日本の高速列車」とは、在来線(東海道本線)時代の電車特急「こだま」ではないか? と推測している。
・副題に「新幹線」とあった以上、原著者ジェリ・クィンジオ氏が、日本の鉄道にもある程度関心を有しているようにも感じた。なので、駅弁や車内販売など、日本の鉄道の食事サービスについても、ある程度書いてあるのか? と期待していた。しかし日本関係の記述は、1886年の横浜のホテルのメニューと、JTBの前身である「ジャパン・ツーリスト・ビューロー」について軽く触れた程度である。日本関係の記述は、日本の鉄道に直接触れた部分は2行、その他の部分を合わせても4ページに過ぎない。
・本書原題の「Food on Rails: The Golden Age of Rail Dining」をGoogle翻訳にかけたら、「鉄道の食べ物:鉄道ダイニングの黄金時代」と翻訳された。「新幹線」とは書いていない。
・正直、これでは【副題詐欺】である。
【その他残念な点】
・料理のカラー写真がなく、イメージがわきづらい。
・現代の鉄道は、古き良き時代を復刻したクルーズ列車のみしか書いていない。TGVなど、一般の列車内や駅での「現代の鉄道の食事」にも触れてほしかった。
・上流階級の乗客について詳しいが、その分一般庶民の乗客については薄い。そこが物足りぬ。
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