・茶馬古道、バター茶に興味があり購入。テーマ自体は好みであり、発酵の手順は素人が読んでも、丁寧で分かりやすかった。ちょうど調べていた白酒(パイチュウ)の作り方は、蒸留器の図解入りで、詳しかったのは当たりだった。 ・第2部のインドのマルプニが、発酵にしろ、宗教にしろ、日本と非常によく似ていることにおどろき、興味深かった。 ・特に第1部では、著者の「好み」が強過ぎて、著者の感性とは波長が合わなかった。後述の通り、ゲンナリさせられることも多い。せっかく茶馬古道を踏破した旅行記なのに、沿線の人たちの生活などの内容が、ほとんど頭に入らなかった。但し第2部は、終盤にいくにつれて、著者の好みの押し売りや批判的文章、チャラい文体が穏当になる感じがあった。 ・文体がチャラすぎる(「おしえてプリーズ」等チャラい表現が散見)。民俗学者、宗教学者の確認を受けた真面目な本のはず。私には、親しみやすい文体ではなく、ただただ【イラつく文体】だった。良質な歴史系旅番組なのに、レポーターが無駄に高いテンションで、クドイ表現を叫びまくって、せっかくの内容が台無しになったのと同じ。 ・著者は「発酵の専門家」にもかかわらず、取材先の大陸のこうじと対比するためか、日本のこうじを「軟弱」と下に見ているようにも感じられた。 ・著者は「まちおこしには、その土地の歴史・文化・気質が重要」と振りかざし、民俗学、宗教学の学識が深そうなのに、現代日本・日本人を「誤り」と考えているのでは? 日本の習慣、気質がどのように作られたのか? との考察・言及をしたようには感じられない。行間の「昔は良かった」「昔のままでいてくれ」「日本は形式的、軟弱で、誤り」「取材先は野性的で正しい」「行政批判」が鼻につく。著者の頭の中にだけある、【古き良き理想の日本】を取材先に求めていたようにも感じた。旅行記ではありがちだし、もっとひどい本もあるが。 ・茶道も、日本は誤り、雲南が正しいと見ているのでは? 雲南の製茶業者、茶農家の日常茶飯事の「茶飲み話会」と、異世界を演出し、高度に儀式化された日本茶道の「茶席」とを同列に論じることには疑問。 ・烏龍茶と紅茶の違いでは、「発酵程度」には触れぬほうが良いのでは? 紅茶の「ダージリンファーストフラッシュ」は、烏龍茶よりも発酵が軽いこともある。 ・巻頭のカラー写真には説明を付けてほしかった。