本家が課した分担金に苦悩する正紀
一俵でも禄高が減れば旗本に格下げになるという、ぎりぎり一万石の小大名・下総高岡藩に婿入りした井上(竹腰)正紀、家臣、領民の苦闘を描くシリーズの第4巻。
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浜松藩井上家本家が、菩提寺である浄心寺改修のため、それぞれ金二百両の供出を分家である高岡藩井上家、下妻藩井上家に言い渡した。困惑する正紀と正広だが、本家の意向に逆らうわけにはいかない。またもや訪れたこの危機をどう乗り切るのか!?
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大麦や銭相場に手を出して分担金を稼ごうと一喜一憂する正紀と下妻藩世子・正広の姿、この二人を潰そうとする下妻藩藩主・井上正棠一派との暗闘が面白ですね。
また、正紀の2歳年上の奥・京の流産に際し、京を癒しきれない18歳の正紀の不器用さ、これからどうなるのでしょうかねぇ。
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■江戸時代の貨幣価値(ネット調べ)
江戸時代と現在では、生活のしかたも、人々の使っていた品物の種類も、物価状況も違うので、お金の価値を単純に比べることはできません。
あくまで参考となる例として、日本銀行金融研究所貨幣博物館の資料では「当時と今の米の値段を比較すると、1両=約4万円、大工の手間賃では1両=30~40万円、お蕎麦(そば)の代金では1両=12~13万円」という試算を紹介しています。
そこでここでは、「1両=13万円」として、当時の物価を見てみましょう。
江戸時代の換算相場は「金1両=銀60匁(もんめ)=銭(銅)4000文」ですので、銀1匁=2166円、1文=32.5円ということになります。
(※実際には、当時は時期によって換算相場も異なりました)
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■本書の基本情報
・筆者:千野隆司(チノ タカシ)
・略歴:1951東京生まれ。國學院大學文学部文学科卒。出版社勤務を経て、'90年「夜の道行」で第12回小説推理新人賞を受賞。時代物シリーズを始めとする著書多数。
・出版:双葉社
・発売:2018年4月
・ページ数:278p
■これまでに購読した千野隆司の著書
・「おれは一万石」…第3巻まで
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