定信の愚策に翻弄される正紀

一俵でも禄高が減れば旗本に格下げになるという、ぎりぎり一万石の小大名・下総高岡藩に婿入りした尾張徳川家一門の井上(竹腰)正紀、妻・京、家臣、領民の苦悩と苦闘を描くシリーズ第7弾。 * 天明7年(1787年)11月1日、将軍家斉公に拝謁し、正紀は名実ともに高岡藩の世子として認められた。喜びの最中、江戸の米価高騰を解消すべく、老中・松平定信が廻米の触を出した。だが、不作、凶作のなか余分な米など誰も持っていない。定信は触を確実に実行させるため、各大名家に分担を課すことにした。高岡藩に課せられた分担米は二百俵。わずかな伝手を頼って正紀は奔走するのだが。。。 * 先に起こった一揆の責任を取らされたのか、他藩より倍の二百俵を課せられた高岡藩。またも苦難に直面した正紀だが、これまでの善行、人徳で何とか二百俵を集める過程が面白い。また、高岡藩を貶めようと、米を横取りしようする面々とに戦いが見もの。 ----- ■廻米(カイマイ)とは 江戸時代,多量の米を一地点(おもに生産地)から他の地点(大坂・江戸などの大市場)に輸送することをいい,また輸送米そのものをいう。 ----- ■本書の基本情報 ・筆者:千野隆司(チノ タカシ) ・略歴:1951東京生まれ。國學院大學文学部文学科卒。出版社勤務を経て、'90年「夜の道行」で第12回小説推理新人賞を受賞。時代物シリーズを始めとする著書多数。 ・出版:双葉社 ・発売:2018年11月 ・ページ数:278p ■これまでに購読した千野隆司の著書 ・「おれは一万石」…第6巻まで(本書) ・「出世侍」(全5巻)