戦国時代の“フル装備”という感じの甲冑で身を固めた、眼光鋭い武士のイラストの表紙に凄く惹かれる。 6篇を纏めた一冊に『老侍』(おいざむらい)と題を冠している。各篇の主人公達は何れも「老雄」とでも呼ぶのが相応しい、60代以上の人達ばかりである。 各篇の主人公は史上の人物達をモデルにしているということになるが、相当な高齢になっているにも拘らず、熱いモノを胸に行動する姿に何か心動かされる。単純に「高齢な人物が頑張って…」ということではなく、色々なモノを視て、考え、行動し続けて来た自身の裡の想いに考え至り、「衝き動こう!」とする“生き様”に心揺さぶられる感だ。 各篇の中、島左近(清興)を主人公とした『過ぎたるもの』が殊更に好かった。同じ作者による『治部の礎』の「収め切れなかった部分」という感も在った。 何れも面白い篇で、読み易い分量である。広く御薦めしたい。