三島由紀夫と石原慎太郎の両者は互いに「注目の若き作家」ということで出会っている。三島由紀夫の若さが注目されていた頃、更に若い石原慎太郎が登場し、「雑誌に掲載された対談」としては「初めてなのか?」というように感じられたモノが本の最初の方に掲載されている。そこから彼らの様々な活動が話題になっている色々なモノが多々在って、昭和40年代の、三島由紀夫が命を絶ってしまった事件の少し前に「公開状」と称して互いの意見をぶつけ合ったというような辺りまで、実に多彩なモノが収められた一冊だ。モノが初出の時期は1956年から1969年までに及ぶという。 三島由紀夫も石原慎太郎も、映画出演をすることをしていて、演劇の台本執筆、加えて台本作家として制作に関わった経緯、更に歌舞伎や能楽にも関わった経過が在って、その種の「表現」を巡って語らっているのだが、そういう辺りは凄く面白かった。 そういう「表現」というように括り得ることに留まらず、実に多彩な内容の対談が収録されていて、その内容に少し驚く。「引き出しが多い」とか「奥底が深い」というように形容し得ると思うが、彼らは実に多くの話題を持っている。加えて、各々が20代、30代だった頃から年月を重ねているので、個人レベルで結婚したとか子どもが産れたというような「個人の人生の中での少し大きな出来事」を経験して行く訳だが、そういうような事柄を巡っても、「引き出しが多い」とか「奥底が深い」という具合に色々と論じ合っている辺りが凄く面白かった。 2020年に登場した文庫本で、「2020年の出版物」として、時に「必要以上??」と思える程度に各方面への配慮というような感じになる昨今の基準で、如何したこうしたと言われそうな内容も在るかもしれない。(自身は然程気にしなかったが…)それでも、「昭和の年月と共に人生を歩んでいた」という三島由紀夫、少し年少の石原慎太郎という2人の大きな存在感を示した文化人の「肉声」は輝きを失っていないと思った。 何かこの『三島由紀夫 石原慎太郎 全対話』を“平成”をも突き抜けた“令和”の今日に読むと、「昭和中期」とでも呼ぶべき“時代”の空気感が甦るような気がしないでもない。 非常に「愉しい読書」ということになった!!