天才肌の監督が創った映画

この映画は一般的には余り評判が良くないのだが、こうしてブルーレイを買って改めて見直して見ても自分には感性が合っている映画で、こういう映画は好きだし、下手なアクション映画よりも派手で面白かった。 ビリングではジャニーズ事務所に気を使ったのか岡田准一がトップだが、彼が登場するのは開巻36分過ぎ、その後もそれほど出番は多くなく、狂言回しにもならない脇役である。 原作小説は三章で構成されておりそれぞれの視点が違うのだが、映画もそれに倣って最初は妻夫木聡が主役かと思わせて、良い人風(だが、実は下司)に妻となる黒木華との生活が描かれる。ところが妻夫木は何ものかに襲われて映画の途中1時間ほどで死亡、次に妻の黒木からの視点で今までの生活が描かれて、妻夫木との結婚生活が破綻していたことが分かるが、彼女も1時間26分頃同じように何ものかにトイレに追い詰められて死亡。主役級の人物が相次いで死んでしまう映画などあるだろうか。そして、原作シリーズの本当の主役比嘉琴子(松たか子)がようやく画面に登場するのは、その直後開巻から1時間27分も過ぎた頃である(それまでは声だけ)。ここから怒涛の展開となるのだが、現実にはあり得ないシーン続出でインパクト大である。 演じる役者たちは、松たか子、小松菜奈、岡田准一ともに今までのパブリック・イメージを覆すヴィジュアルと役柄で、こういう使い方をする中島哲也監督はさすがである。特典映像にあるインタヴュー等で発言を聞いていても、天才肌の監督の考えることはやはり違うと思わざるを得ない。凡人とは全く違う思考回路故こういう映画が創れるのだろう。