1984年に初登場で、1993年に文庫化され、その文庫が2020年に改版ということで登場している。そんな一冊ということになるが、読み易い体裁でもあって、素早く読了に至った。
最初の方を読んで、明らかに「聴衆に向かって話している」という調子の文章であると思った。思ったとおりで、本書は講演の記録を集めて校正したという本である。一部は本書の以前に刊行物に掲載された経過も在るようだ。
そういう訳で、1984年に本書が初登場する以前の時点で話していることなので、1970年代を指して「十数年前」というような言い方になっているというような、少し引っ掛かる場合も在るかもしれない。が、それは然程気にならなかった。初出から10年程を経た文庫化の時点で「初出当時に見受けられた“密教ブーム”という様子は下火になったが、内容に然程違和感は無い」と著者があとがきにも在るのだが、そこから更に時日を経た現在の時点で本書に触れても、「内容に然程違和感は無い」と思えた。
本書の中で、1980年代位に話していることとして本文に現れるのだが「世の中の価値観が揺れている。替りつつある?」という言及が何箇所も在ったと思う。これは1990年代に本書が文庫化された頃にも、間違いなく在った問題意識だ。そして2021年の今日でも?
なかなかに有益な読書になったように思う。
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