この著者のシリーズを買い続けています。 今回も非常に読みごたえがありました。 クライマックス後には、同著者の他シリーズ「大鴉の啼く冬」を思わせるやり取りがあり、肌が泡立つ感がありました。他の推理小説でありがちなサイコパスではなく、それまでの環境や生い立ちが心の中に育て上げてしまった歪な陰。おそらくこれはだれもが大なり小なり持つものでしょう。人となりの一部なので、一生抱えていくものです。しかし、中には何かのきっかけで牙をむくこともある。「大鴉の啼く冬」しかり「炎の爪痕」しかり、本作しかり、そういった完全な悪とは違うあいまいな陰の描き方が相変わらず絶妙です。 一方本作では、マシューやジェンやその友人関係に成長がみられ、読後は非常に爽やかです。 次のシリーズが楽しみです。 余談ですが本著者、他シリーズのシェトランド四重奏で「このシリーズを書き続けているとシェトランドという小さな島で、全員が犯罪者か被害者の関係者になってしまう」とぼやいていましたが、今回のシリーズの今後はどうなるでしょうかね。またあとがきではドラマで先行したシリーズの邦訳もあるとの報があり楽しみです。